日本で広がる

偽装ヘナの恐怖

等級の低いヘナを偽装して「高級ヘナ」に変える。

 

 インドでは昔から、等級の低いヘナを偽装して高級に見せかける悪い習慣があります。

 

そしてヘナ市場においても「化学薬品による巧妙な偽装」が横行しています。インドの人でも騙されるほど巧妙なもので、悪い化学者たちが関与しているようです。肌の弱い人が使うとカブれるのですぐにわかるものですが、お国柄、保証などありません。

 

頻発する健康被害相談からインド政府も規制(ヘナへの配合禁止薬品の指定)と取り締まりに力を入れてきました。しかしながら今もなお偽装は横行しております。

 

インドでヘナを扱う人々は偽装したヘナを通称「BAD HENNA バッドヘナ」と呼びます。

もちろんその成分の危険性を良く知るので市場の人は誰も使いません。

 

ではなぜバッドヘナが無くならないのか。

それはバッドヘナを知らずに買うお客さまがいるからです。

この偽装ヘナ、バッドヘナの主な輸出先は台湾、そして日本なのです。

 

 

 タール砂漠の玄関と呼ばれるジョドプールシティ。

ここからタール砂漠までの間にヘナファームが広大に広がるのですが、砂漠に近くなるほど地表の環境は厳しくなり、それは葉の成長と色に大きく影響します。

 

生育環境で

葉の品質が異なる

 

 パッションヘナのヘナ農場はジョドプールから一番近い場所にあります。約100km程の距離です。ヘナファームに適した肥沃な大地で、ヘナの葉は元気でキラキラしています。


 さらに数時間ほど奥地へ進むと畑の雰囲気が変わってきます。

このあたりには乾燥した暑い風が吹いています。暑いのに汗がでないほど乾燥しています。ヘナの葉も一生懸命に大きくなろうとしていますが苦しそうに育っています。葉の間に乾燥した土が見えます。もちろんこの土地で収穫されたヘナは使用しません。


 さらに数時間の距離を進むと、そこは砂漠の入口の街。空の色まで変わります。ヘナはとても生命力の強い植物ですので砂漠になりかけている土地でも育ちますが、他の植物はきっと枯れてしまう環境です。ヘナの葉は強烈な乾燥に耐えて育っています。


 大きく分けて3種類のヘナ葉が収穫されます。それらは環境の異なる地域で取れたため、色も厚みも異なります。

そしてこの葉色が市場で取引価格(等級決定)に大きく影響します。少しでも高く売りたいと考えるヘナ生産者は工業用色素をヘナに加えて青々としたパウダーに変えてから市場に持ち込みます。

これが「偽装ヘナ」です。(※パッションヘナは自社収穫のため、これらのヘナ市場を介しておりません)

 

色の悪いヘナ、古いヘナ、染まらないヘナは偽装してから市場へ

 

 ソージャットのヘナ市場は、ラジャスタン州のとある一部の商人組織がコントロールしています。

 

とても商売人で、いろいろな噂があります。彼らとの取引を揶揄することわざ(注意喚起)があるほどです。ラジャスタンで「良いヘナ」を、常時仕入れるのはとても難しいです。市場内でもペーリ(2番等級)や、シーグレード(3番等級)の葉をキレイにしてカティスラ(最高級)として販売することもあるからです。

 

【主な化学成分】

 ピクラミン酸(使用目的:髪が赤黒く染まる)正式名はピクラミン酸ナトリウムという染毛剤です。不純物の多いヘナ、古いヘナなど染毛効果の薄いヘナに配合します。安価な成分のため広く横行しています。日本でもこの成分を使用した製品が薬事法違反(発がん性物質)で回収になっています。

 ブリリアントグリーン(使用目的:パウダーを緑色にできる)石油系化学色素で別名ダイアモンドグリーンとも呼ばれています。プラスチックなどを着色する際に使用する色素で人体には使用できない劇薬です。わずか数グラムでドラム缶一杯の水をグリーンに変えるほど強い薬品で発がん性物質があるため人体には使用できません。

 HC染料(使用目的:髪が黒く濃く染まる)ヘアーカラー用の石油系化学色素。色素分子が小さいため染毛効果が高いが、体内への吸収率も高くなる可能性がある。最近の成分のためリスクデータが不充分。

 

騙されるのはいつも日本人

 

 無添加の上質なヘナのパウダーと「偽造ヘナパウダー」は、見分けがつきません。もちろんインド市場の関係者は皆、当然知っている事情ですが、何も知らない人々が買っていくので、そこは暗黙の了解、他言は無用の世界です。何も知らない人々とは、日本人と台湾人なのです。

 

 インド国内において、粉末化された偽装ヘナは小袋に充填して日本へ送り、日本国内で日本語表示のラベルを貼り販売されています。ラベルには「無添加ヘナ」「植物成分100%」と書かれているので注意が必要です。

 

インドの法規制と悪質業者のイタチごっこ

[ 健康被害 → 使用中止命令 → 新たな化学成分の使用 → 健康被害 ]

増え続ける偽装ヘナと化学薬品は、使用する私たち自身で品質試験をする以外に無添加の確証はありません。

インドでは販売禁止になっているヘナが日本で現実的に売られています。徹底した原料の成分試験が唯一、真実を知る方法なのです。

 

最後に日本国内のヘナメーカー(化粧品製造業)のダークサイド事情をお伝えします。

 

ご紹介したバッドヘナは、日本で大きく流通しています。皆様のまわりで目にするヘナ、美容室で売られているヘナのほとんどが該当します。ではなぜそのような「悪いヘナ」が摘発されないのでしょうか?またメーカー側はそのような事実を隠蔽しきれるのでしょうか?

 

メーカー側は以下のような考え方をします。

● 原料に何らかの化学成分が使用されている疑いがある場合でも、その成分が実際に含まれているかどうかの成分試験は積極的には行わない。成分試験を行わないことにより、結果、メーカー側においては認知(証明された)に至らず、対応する必要性がなくなる。

● 疑わしき成分の混入がある場合でも、その成分を第3者から特定されない限り、その成分が実際に含まれているかどうかの成分試験は行わない。通常、成分試験とは成分の特定ができないと検査方法が定まらないからである。結果、メーカー側においては認知(証明された)に至らず、対応する必要性がなくなる。

● 仕入れたヘナ原料に対して、メーカー側が特定の化学成分を加えていなければ、それは「無添加ヘナ」として標ぼうすることができる。

 


さらに、

日本国内で製造(加工)販売されている「危険なヘナ」

 ご紹介した偽装ヘナは染まりが悪く、そして悪臭がします。当然ながら初めてヘナを体験した方にはがっかりの経験をさせることでしょう。そのようなバッドヘナを国内メーカーが手を加え「良く染まるように」加工をする製品が増えてたので驚きです。それはもう立派な化学染毛剤です。

 

実際に売られている製品例をご紹介することはできませんので、それらに使用される成分をお知らせします。

量販店などの染毛剤コーナーで、ヘナ製品を見かけましたらその「成分表示」をご覧ください。

 

臭素酸ナトリウムという原料は、液体タイプ、パウダータイプの2種類があります。成分表記例は [ 臭素酸Na ]   [ 臭素酸ナトリウム ]です。液体タイプのものは、ヘナに混ぜたり、ヘナパック後の「シャンプー」に混ぜて使用させるものです。

 

 臭素酸NAは、自己責任で使用する覚悟が必要です。皮膚についたら直ちに洗浄しましょう。妊婦や小さなお子様には使用を避けるべきと考えます。

 

 みなさんがご存じの「パーマ液第2剤」にも使用される酸化剤です。先にご紹介したHC染料よりも危険な成分です。色落ちやしすい「HC染料分子」「HC染料入りヘナ」をタンパク質に固定化させ、色落ちを遅らせることができます。成分の特性上、頭皮(皮膚)につけないように塗ることが要求される成分ですが、実際に店頭で売られている製品には、そのようなリスクの説明はありません。

 

「臭素酸ナトリウム・危険有害性情報」MSDS情報より抜粋|以下、当該成分の[安全データシート-MSDS・危険有害性情報」から一部を抜粋

■ 遺伝性疾患の恐れ。

■ 発がん性のおそれの疑い。

■ 腎臓、神経系消化器系、血液系の障害。

■ 呼吸器への刺激の恐れ。

■ 長期または反復暴露(定期的な使用)による甲状腺、腎臓の障害のおそれ。

 

【使用上の安全対策】…粉塵、ミスト、蒸気を吸入しないこと。取り扱いには、保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。

 

【応急処置】

吸引した場合は、空気の新鮮な場所に移動させる。目に入った場合は、水で15分以上注意深く洗うこと。

皮膚に付着した場合は、大量の水と石鹸で洗うこと。

 

臭素酸Naの成分をわかりやすく説明するならパーマ液と同じものです。その特殊な成分をヘナと混ぜて使用していることを認識して下さい。継続した利用は、髪を傷める恐れ、そして健康被害が懸念されます。止むを得ずに使用する場合は、頭皮に着けないように塗る工夫が重要です。

 

 

 化粧品原料の規制緩和で、使用可能となったヘアカラー用の化学色素です。タール系色素よりも、剥がれやすいためリスクが低いものと評価されています。

分子が小さいためヘナと同様にキューティクルの隙間に入り込んで染毛します。そのため健康な髪よりも、傷んだ髪の方が染まり易い傾向があります。

 

成分表記例

HC青2、HC橙1、HC赤3、HC黄4 など

 

 当社でも、このHC染毛力を比較するため様々な実験をしました。しかしながら固定化(酸化・イオン吸着)させない限り、流出しやすい(色落ち)です。

他社の製品の口コミをみても「染まらない」「染まっても色落ちが早すぎる」等の書き込みが多いのも事実です。

 

 

HC染料は、新しい化学色素成分でカラダへの影響は未知なもの。

大量に配合されている製品もあり注意が必要です。

 HC染料がタール系染料に比べ、アレルギーリスクが低いとはいえ、大量に配合してある場合は要注意です。それはヘナではなく化学染毛剤を考えるべきですね。

HC染料も石油を原料に作られるものに違いはありません。成分表記欄を見て、これらの成分が上位表示されている場合は、さらに注意が必要です。(化粧品成分は配合量の多い順に表記される)

HC染料の分子はとても小さいため、一般的な染毛剤で使用するタール色素よりも、深部へ浸透する恐れがあれります。長期間の使用がカラダへどのような影響を与えるかは不明です。

その昔「タール色素」も、夢の安全染料ともてはやされた時代がありました。これらの新しい色素が同じ健康被害を繰り返さないことを願います。